鈴立山 若松寺境内案内
―最上札所の第一番霊場―文化財
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国指定重要文化財 若松寺観音堂
室町時代に建立したとされる「観音堂」は、慶長年間に山形城主の最上義光が大改修したあと、文部省が昭和41~43年にかけて解体修理を行った五間四方で単層(平屋)入母屋造り銅板葺きの御堂である。
奈良や京都の寺院の多くはヒノキやケヤキを主材料にしているが、義光は山形の最上地方に多いブナ材を主材料にして解体作業を行った。建築学的にみて建造物には不向きといわれるブナ材を基調にしている当観音堂は、全国的にも珍しい御堂といえる。内部構造は中敷居に格子戸をはめ、上部に菱欄間を入れて内外陣を区画し、内陣には須弥壇を設けて厨子を安置する形で、東北地方における密教本堂の遺構として貴重なものである。なお、観音堂内部に残っている落書きは、主に江戸期のものと思われるが、当時の参拝者が書いたもので、最上札所の第一番霊場として、また諸願成就の祈願寺として当山がいかに多くの人々に親しまれたかを物語る貴重な資料となっている。
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若松寺 三文殊
■文殊菩薩坐像(聖僧文殊)
円頂、白毫相[びゃくごうそう]、彫眼、三道、耳朶[じだ]貫通、内衣、法衣、を着け、袈裟を着ける。袈裟は左肩に被い右脇を通り、左胸のところで環で吊り左前にかかる。右肩に覆肩衣のような衣を着けるがその端は垂下しない。左手は前に上げ、右手は膝の上に置く。像背面に次の墨書銘がある。
文明11年乙亥6月17日 造了/ 鈴立山 若松寺 / 食堂[じき どう]本尊
文殊菩薩尊像一躰 / 当座主 賢海 / 当別当 慶尊 / 願主 貞慶、良尊
これらにより本尊は文明11年に(1479年)に食堂本尊として製作された文殊菩薩像であることがわかる。 -
■文殊菩薩坐像
観音堂外陣向かって左に安置され、自由に参拝出来一番親しまれている文殊菩薩である。
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■文殊菩薩坐像 獅子
獅子の背に乗る蓮台上に座すいわゆる文殊騎獅像である。髻を結い上げ、天冠台を彫出する。
彫眼、三道彫出、耳朶不貫、内衣、衲衣、裙を着ける、両手を前にだし右足を上にして結跏趺座する。
獅子背中に敷物を表わし、その上に別材の円柱状の軸と蓮台を載せる獅子である。
正面やや上方を向いて開口する、頂に大小数個の宝珠と巻髪を表わし、背中には総髪の筋を数本あらわす。
頭部を大きく作り肢も太くそれなりの力強さを感じさせる像である。しかし相貌はおとなしく愛玩性を感じさせ、姿勢も胸の張りを見せての強調性は減退している。
頭部の形は四角い箱型となり、鼻先も丸みがなくなり扁平となっている。巻髪、総髪の彫りは柔らかさを感じさせるものの、髪束の数そのものは少なくなる。頭体部を横一材とする構造も古作では例がない、これらから製作は室町時代に入ってからのものと思われる。
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鈴立山 若松寺
こちらでも参拝できます
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こちらでも参拝できます
観音堂の模型がパルテ2階(JR天童駅)に展示されています。若松寺までこられない方は参拝して下さい。
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